動物保護と環境保全

動物個体の権利・福祉を目的とする団体と、生態系や生物群集・個体群の保全を目的とする自然保護や環境保全の活動は似て非なるところがあり、むしろ主張や方針が対立することもあります。
前者は個々の動物の生存・権利・福祉を最重要視するあまり、生態系全体を省みることがない場合です。
生態系や生物群集・個体群の保全には、個体の生存・権利・福祉をある程度犠牲にしなければ成り立たないことがあり、生態系維持のためには、生態系を撹乱する外来種(ブラックバス等)や異常増加した野生鳥獣(シカ等)を防除しなければいけませんが、中にはこの外来種個体の保護を訴える団体も無くはありません。
例えば奄美大島にハブ駆除のために放されたジャワマングースはアマミノクロウサギをはじめとする固有種の個体群の脅威であり絶滅の縁に追いやっているため、駆除事業が展開されていますが、動物愛護団体にはジャワマングースの個体の生存権を主張し、駆除事業の中止を求める団体もあるのです。

オーストラリアの野生動物保護及び環境保全に関する財団

現在、オーストラリアには野生動物保護及び環境保全に関する財団がいくつか存在し募金活動などを行っております。
それらの団体の収益金は、野生動物保護の為の陳情活動や生息地の確保、またそれに関連する研究に分配されているようです。
加えて、野生動物保護施設にも施設充実の為分配されておりますが、多くは特定の私的商業施設(私立動物園など)に付随した保護施設を対象としております。
しかし、公的施設、例えばクイーンズランド州政府管轄のモギルコアラ病院やデヴィッドフレイズ野生動物保護公園にはこれらの団体からの援助はほとんど行われておりません。
また、実際に最先端で動物の保護や救助に携わるアニマルケアラーなどのボランテイアの方々にもほとんど援助が行われておらず、自己負担により活動を行っているのが実状であります。
さらに絶滅を危惧される動物種は数多くあり、援助がそれらの動物たちに広く行渡っているとは言えません。